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リウマチと似た病気,
監修 |
一般にリウマチという言葉は「慢性関節リウマチ」という1つの病気を指すことが多くなっていますが、関節や筋肉や骨といった運動器官の痛みを伴う病気を総称してリウマチ性疾患と呼んでいます。リウマチ性疾患の代表が慢性関節リウマチ(リウマチ)ですが、関節の痛みを伴う病気は100種類以上もあります。関節の痛みはイコールリウマチとはいえないわけで、どの病気に当てはまるかということをよく診断して決めなければなりません。見分け方のポイントを表にあげました。
次にリウマチに似た病気、まちがえやすい病気について説明します。
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1つだけの関節が腫れて痛む病気を単関節炎といいます。単関節炎には痛風、偽痛風、感染性関節炎などがありますが、リウマチとまちがえられることはあまりありません。痛風や感染性関節炎は急激に起こるのが特徴です。
リウマチと同じように3つ以上の関節が同時に腫れて痛み、しかも比較的じわじわ起こって長く続く慢性の多発関節炎を起こす病気があります。全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病といった膠原病に伴う関節炎は、指や手の小さい関節に起こりやすいので病気のはじめはリウマチと非常によく似ています。しかしリウマチとちがい、関節の変形が起こりません。比較的治療によく反応して関節炎がなおります。次の変形性関節症、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、成人スティル病も慢性的に多発関節炎が起こり、リウマチと混同されやすい病気として重要です。
リウマチ外来にリウマチではないかと紹介されてくる病気としてもっとも多いのが変形性関節症です。これは高齢者に多く、加齢(老化)に伴う軟骨の変性疾患と考えられています。関節の間のクッションの役割を果たしている関節軟骨がだんだん擦り減って、骨がゴリゴリと擦り合うために動きがわるくなったり、痛みを伴ってきます。リウマチの起こりやすい年齢は20〜40歳代ですが、変形性関節症は50歳以上に起こります。体重や負担のかかりやすい膝、股、指先(DIP関節)などに起こりやすく、動き始めに痛くて、動いている間は比較的痛みが和らぐといった特徴があります。指先のDIP関節は特有の変形した骨のこぶによって節くれだったようにみえることがあり、ヘバーデン結節と呼ばれています。人さし指から小指にかけてみられます。PIP関節にできる骨のこぶはブシャール結節と呼ばれていますが、ヘバーデン結節ほど多くはありません。
リウマトイド因子は原則として陰性です。血液の炎症反応(赤沈、CRP)も正常です。レントゲンでみると、関節のすきまが狭くなり、骨が硬くなって白っぽくみえる骨硬化像がみられます。また、骨棘(こっきょく)という骨のとげが出てきます。

血清反応陰性脊椎関節症の1つで、比較的若い男性に起こりやすい病気です。遺伝的な素因があり、HLA-B27という特殊な白血球の型をもった人に多いといわれています。脊椎がだんだん堅くなって動きがわるくなってくる病気ですが、1/3くらいにリウマチとまぎらわしい手や足の末梢関節炎を伴う人がいます。でもよくきいてみると背中や腰の痛みがあります。リウマチの場合は首(頸椎)を除いて脊椎が障害されることはまれですが、この病気は高頻度にほとんど必発的に頸椎、胸椎、腰椎にかけての病変(脊椎関節炎)や仙腸関節炎を伴います。

乾癬というのはがんこな皮膚病の一種で、銀白色の厚いかさぶたを伴う紅斑が特徴です。尋常性乾癬というのは一番ありふれた乾癬のことで、人口の1%がこの病気をもっているといわれています。尋常性乾癬の約5%にリウマチとまぎらわしい関節炎が起こることがあり、これを乾癬性関節炎と呼んでいます。
リウマチのような手足の関節炎を起こしたり、指の変形を起こすのですが、一番起こりやすい関節はDIP関節です(リウマチはPIP関節、MCP関節)。また、爪の変形があります。よくみるとからだのあちこちに乾癬の皮疹がありますのでリウマチと違うことがわかります。
スティル病はもともと子どもの病気で若年性関節リウマチのなかの発熱などの全身症状の強いタイプを指していました。ところが30年ほど前におとなにも同じ病気があるということがわかりましたので、成人スティル病または成人発症スティル病と呼ばれています。
リウマチとまぎらわしい関節炎を起こしますが、この病気の特徴は発熱と発疹です。38〜39℃以上の高熱が続き、サーモンピンク紅斑と呼ばれる特徴的な発疹が出てきます。1/3くらいの患者さんは慢性の関節炎に移行してだんだん関節が動かなくなる(強直)ことがあります。しかしリウマチとは異なり、リウマトイド因子は陰性です。

100種類以上もあるリウマチ性疾患を的確に診断することはのちの的確な治療につながりますので、症状や検査所見はとても重要です。
■発熱
リウマチの場合は活動性が高いときには微熱はみられますが、38℃を超える高い熱が出ることはまれです。
関節が痛んで高い熱が出る場合はさまざまな膠原病や血管炎症候群、成人スティル病などを考える必要があります。
■皮膚症状
紅斑などの皮膚症状はリウマチ性疾患によく認められる症状です。
全身性エリテマトーデスに特徴的な蝶形紅斑(赤く大きな蝶々が羽をひろげたような頬の紅斑)や、皮膚筋炎にあらわれるヘリオトロープ疹(まぶたが腫れて赤紫の紅斑が出る)などがあります。
また強皮症では指先の皮膚が硬くなります。スティル病ではサーモンピンク紅斑と呼ばれる特徴的な皮疹が熱とともに出ます。
結節性紅斑(ベーチェット病など)や皮下結節(リウマチなど)もよくみられます。
■リウマトイド因子
リウマトイド因子はリウマチの診断の参考になります。しかしリウマチ患者さんのリウマトイド因子の陽性率は70〜80%で、残りの20〜30%の患者さんは陰性です。ですからリウマトイド因子が陰性だからといってリウマチを否定することはできません。
また逆に膠原病や慢性の肝疾患や感染症などでもリウマトイド因子は20〜30%の頻度で陽性になります。ですからこの検査だけでリウマトイド因子が陽性だからリウマチとすぐに診断はできません。
健康な人でも数%は陽性になります。人間ドックなどでリウマトイド因子が陽性と出て何も症状がないのにリウマチといわれて外来を訪れる患者さんが決して少なくありません。いろいろ調べて「心配ないですよ、健康な人でも数%は陽性になるのです」というと安心して帰られます。そして、そういった人をさらに何年も追跡しても何も症状が出ない人がほとんどです。リウマトイド因子だけでリウマチと診断してはいけないということです。
■抗核抗体
抗核抗体は膠原病やリウマチ性疾患でよく陽性となる検査です。
陽性になるということはなんらかの自己免疫異常を示唆する1つの証拠ですが、リウマトイド因子と同様にイコール膠原病、リウマチ性疾患というわけではありません。健康な人の10〜20%は陽性になることがあるからです。
陽性の場合には疾患特異的自己抗体と呼ばれる抗体検査を行います。抗核抗体をさらに細分化したもので、抗DNA抗体、抗RNP抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体などです。抗DNA抗体や抗Sm抗体が陽性となれば全身性エリテマトーデスの可能性が高く、抗SS-B抗体が陽性であればシェーグレン症候群の可能性が高くなります。ただしこれらの抗体の感度(陽性率)はそれほど高いものではないので、陽性であればその病気の診断の可能性は高いけれども、陰性でも病気を否定することにはなりません。
■関節液
関節炎の診断のために関節液の検査が必要になることがあります。ただリウマチでは治療のために関節液を抜くことはあっても、診断のために関節液を調べることはあまりしません。しかし、単関節炎の診断には関節液の検査が非常に重要となることが多く、特に感染性関節炎、痛風、偽痛風などの病気はこの検査が診断の決め手になります。

リウマチ治療にステロイドは欠かすことのできない薬ですが、その適応についてはリウマチ専門医の間でも意見が分かれています.リウマチで必ずステロイドを使わざるをえない場合は、リウマチの合併症により命が危うくなったり重大な後遺症が危惧されるときです。たとえば血管炎、間質性肺炎の急性増悪、胸膜炎、眼の強膜炎にはステロイドを中等量から大量投与しなければなりません.このような場合のステロイド治療に反対する人はいないでしょう.
問題は関節症状にステロイドを用いるかということです.ステロイドは強力な抗炎症作用をもち、一定量以上を使えば劇的な効果がみられます.このため、あたかもリウマチが完全に治ったかのように錯覚しがちですが、ステロイドを中止したり減量するとリウマチは再び悪化し、症状は前以上にわるくなります.それではリウマチがわるくならない量のステロイドをそのまま使っていればよいではないかと思われるかもしれませんが、長期に使っているとだんだん効かなくなって必要量が増えていき、いろいろな副作用が現れて、結局はステロイドを使う欠点が利点を上回る結果となることが多いのです.このようなことがわかって、ステロイドは痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)や抗リウマチ薬の効果が十分でないときにのみ、少量(プレドニゾロンで1日5mg程度)を用いるのがよいとされています.また、ステロイドを使うときには必ず抗リウマチ薬を併用すべきで、抗リウマチ薬が効けばステロイドを減量することができます.妊娠のときは抗リウマチ薬や非ステロイド性抗炎症薬が悪影響を及ぼす可能性があるため、むしろ少量のステロイドだけを投与します.
このようにみてみると、やはりステロイドの使用は慎重にすべきと考えますが、使わざるをえないときには思い切って使うということになります.